魔王と王女の物語
「よく平然と帰って来れたな」
「…父上、こちらはラス王女とティアラ王女。それに白騎士のリロイと…」
「…“それ”は魔王では!?」
王が驚きに目を見張り、抱っこしたラスの頬にキスをしまくっていたコハクがにやりと笑い、城内を顎で指した。
「暴れるつもりはねえよ。それよか俺の天使ちゃんが疲れてるから休ませてやりたいんだけどー」
「…とにかく中へ。グラース、お前には聴きたいことが山ほどあるからな」
唇を噛み締めて握り拳を作ったグラースのことがラスは気になったが、
声をかけようとした時、それまでにこやかな笑顔を浮かべていた正装姿の男がグラースに近寄り、耳元で囁いたのを魔王は見逃さなかった。
「ついて来い。話がある」
「…」
面白そうな匂いを嗅ぎ取った魔王が城内へ入っていく2人を見送り、王の後ろを歩いていたリロイとティアラに手を振った。
「先に行ってていいぞ。俺とチビはちょっと城内を見て回るからさ」
「…勝手なことはするなよ」
「うるせえよぶっ飛ばすぞ」
その後足早にグラースの後を追い、ラスは落ちないように首にしがみつきながら悪戯をする前にいつも浮かべている意地悪な笑顔のコハクに問う。
「もしかして盗み聞きするの?コー、駄目だよ」
「チビは気になんねえのか?国を出て行った原因、きっとあの男だぜ」
案の定グラースは部屋に連れ込まれていて、魔王が人差し指を振ると、室内の2人の会話が聞こえてきた。
『5年ぶりだな。突然ここを出て行って心配したよ』
『…いつかは出て行くつもりだった。あんたのことは関係ない』
『兄に“あんた”とは何だ?グラース…そんなにあの夜僕に抱かれたのがいやだったか?』
――ラスがきょとんとした顔をした。
会話の意味がわからずコハクの顔を見て、だがコハクは手で口を覆っていて必死に笑いを堪えていた。
『腹違いとはいえ私たちは兄妹だ。あんなことされて…もう一緒に居られるわけがない』
『僕はお前のことを本当に愛している。グラース、2人で城を出よう』
腹違いの兄に愛を乞われるグラース…
ラスが赤面し、コハクに抱き着いた。
「…父上、こちらはラス王女とティアラ王女。それに白騎士のリロイと…」
「…“それ”は魔王では!?」
王が驚きに目を見張り、抱っこしたラスの頬にキスをしまくっていたコハクがにやりと笑い、城内を顎で指した。
「暴れるつもりはねえよ。それよか俺の天使ちゃんが疲れてるから休ませてやりたいんだけどー」
「…とにかく中へ。グラース、お前には聴きたいことが山ほどあるからな」
唇を噛み締めて握り拳を作ったグラースのことがラスは気になったが、
声をかけようとした時、それまでにこやかな笑顔を浮かべていた正装姿の男がグラースに近寄り、耳元で囁いたのを魔王は見逃さなかった。
「ついて来い。話がある」
「…」
面白そうな匂いを嗅ぎ取った魔王が城内へ入っていく2人を見送り、王の後ろを歩いていたリロイとティアラに手を振った。
「先に行ってていいぞ。俺とチビはちょっと城内を見て回るからさ」
「…勝手なことはするなよ」
「うるせえよぶっ飛ばすぞ」
その後足早にグラースの後を追い、ラスは落ちないように首にしがみつきながら悪戯をする前にいつも浮かべている意地悪な笑顔のコハクに問う。
「もしかして盗み聞きするの?コー、駄目だよ」
「チビは気になんねえのか?国を出て行った原因、きっとあの男だぜ」
案の定グラースは部屋に連れ込まれていて、魔王が人差し指を振ると、室内の2人の会話が聞こえてきた。
『5年ぶりだな。突然ここを出て行って心配したよ』
『…いつかは出て行くつもりだった。あんたのことは関係ない』
『兄に“あんた”とは何だ?グラース…そんなにあの夜僕に抱かれたのがいやだったか?』
――ラスがきょとんとした顔をした。
会話の意味がわからずコハクの顔を見て、だがコハクは手で口を覆っていて必死に笑いを堪えていた。
『腹違いとはいえ私たちは兄妹だ。あんなことされて…もう一緒に居られるわけがない』
『僕はお前のことを本当に愛している。グラース、2人で城を出よう』
腹違いの兄に愛を乞われるグラース…
ラスが赤面し、コハクに抱き着いた。