魔王と王女の物語
腹違いの兄妹…血が繋がっているのに、愛の告白をしたグラースの兄。
さすがのラスも2人の危険な関係に気付いてコハクの耳元でひそひそと囁いた。
「コー、大切なお話をしてるからやっぱりやめようよ…。愛の告白なんてはじめて聞いてびっくり…」
「へ?俺がいつも愛の告白してんじゃん。チビはほんとになーんもわかってねえな。まあいっか、俺がたっぷりイロイロ教えてやるからさ…」
赤い瞳が優しく和らぎ、盗み聞きを止めてグラースたちの居る部屋に背を向けた時…件の部屋からグラースが飛び出してきた。
「!ラス…」
「あ、あの…ごめんなさい、グラースが心配で…」
「…いや、いいんだ。早く行こう。こんな所…早く出て行く」
せっかく戻って来たというのに、もう出て行く話をするとずっと唇を手の甲で擦り、血が滲んでいた。
「大丈夫?いやなことされたの?」
「…あの男は…ダリアンは第二王妃の子。私の母は第一王妃だが、男子を生めなかった。王位は男子が継ぐもの。だからダリアンが継げばいい。血が繋がっているのに愛なんて…ばかげてる」
「そうか?お前もまんざらじゃねえように見えるけどな」
――魔王に見透かされてぐっと黙り込むと3人は玉座の間に向かい、父の隣の王妃の椅子に座る母から駆け寄られて、抱きしめられた。
「グラース、あなたどこへ行っていたの!?」
「…お母様…申し訳ありません。お父様、突然戻って来て差し出がましいのですが、リロイの剣に聖石の加護をお授け下さい。お願いします」
深々と頭を下げて願いを乞うたグラースに倣ってリロイたちも頭を下げると、魔王だけが不遜な態度で腰に手をあててマントの中にラスを抱き込んだ。
「俺を殺したいなら断らないのが賢明だぜ。ま、たかがブルーストーンだろ、あんなちっせぇ石で何ができるか逆に興味あるけどな」
「コー、やめて!どうして居なくなるようなこと言うの!?」
――王は迷っていた。
ラスは魔王に操られているようには見えないが、この世界を再び暗黒に支配されないためには協力するしかない。
…グリーンの瞳が訴えていた。“殺さないで”と。
愛娘も訴えていた。“最後のお願いだ”と――
さすがのラスも2人の危険な関係に気付いてコハクの耳元でひそひそと囁いた。
「コー、大切なお話をしてるからやっぱりやめようよ…。愛の告白なんてはじめて聞いてびっくり…」
「へ?俺がいつも愛の告白してんじゃん。チビはほんとになーんもわかってねえな。まあいっか、俺がたっぷりイロイロ教えてやるからさ…」
赤い瞳が優しく和らぎ、盗み聞きを止めてグラースたちの居る部屋に背を向けた時…件の部屋からグラースが飛び出してきた。
「!ラス…」
「あ、あの…ごめんなさい、グラースが心配で…」
「…いや、いいんだ。早く行こう。こんな所…早く出て行く」
せっかく戻って来たというのに、もう出て行く話をするとずっと唇を手の甲で擦り、血が滲んでいた。
「大丈夫?いやなことされたの?」
「…あの男は…ダリアンは第二王妃の子。私の母は第一王妃だが、男子を生めなかった。王位は男子が継ぐもの。だからダリアンが継げばいい。血が繋がっているのに愛なんて…ばかげてる」
「そうか?お前もまんざらじゃねえように見えるけどな」
――魔王に見透かされてぐっと黙り込むと3人は玉座の間に向かい、父の隣の王妃の椅子に座る母から駆け寄られて、抱きしめられた。
「グラース、あなたどこへ行っていたの!?」
「…お母様…申し訳ありません。お父様、突然戻って来て差し出がましいのですが、リロイの剣に聖石の加護をお授け下さい。お願いします」
深々と頭を下げて願いを乞うたグラースに倣ってリロイたちも頭を下げると、魔王だけが不遜な態度で腰に手をあててマントの中にラスを抱き込んだ。
「俺を殺したいなら断らないのが賢明だぜ。ま、たかがブルーストーンだろ、あんなちっせぇ石で何ができるか逆に興味あるけどな」
「コー、やめて!どうして居なくなるようなこと言うの!?」
――王は迷っていた。
ラスは魔王に操られているようには見えないが、この世界を再び暗黒に支配されないためには協力するしかない。
…グリーンの瞳が訴えていた。“殺さないで”と。
愛娘も訴えていた。“最後のお願いだ”と――