魔王と王女の物語
コハクは時々そうやって命を軽んじる所がある。
不死とは一体どういうことなのか?
永遠の命を自分にも与えると言っていた。
そうしたら…いつかは死にたくなってしまう時が来るのだろうか?
死ねなくなるのに?
「コー、やだ…やだ…!」
「なんだよチビ、ちょっとからかっただけだろ。俺はずっとチビの傍に居るから安心しろって」
王はしばらく黙っていたが、グラースがまた王国を飛び出して行くのは目に見えていた。
兄妹の密かな関係…それにも気付いていて、2人を離すにはグラースを城から出すしかなかった。
「…カイ王から親書は来ている。リロイと言ったな、来なさい」
「!ありがとうございます!」
すれ違い様、リロイがふっと鼻で笑った。
…そんなリロイは好きじゃなくて、ラスはコハクに抱き着いたまま顔を上げなかった。
グラースも迷っていた。
この決断が正しかったのか…魔王とラスを引き裂く結果になってしまうかもしれないのに、これで良いのか――
「自分の決断に後悔するな。小僧の好きなようにさせればいい」
「だが…お前の命が危なくなるぞ」
「はあ?俺を誰だと思ってんだよ。なんで俺が“魔王”って言われてるのか知ってるだろ?俺が危険で攻撃的で最強の魔法使いだからだ」
コハクだけが魔法を使える理由――それをラスは聞いたことがなかった。
別に興味はなかったし、コハクが傍に居てくれればただそれだけでよかったのに。
「コー…早くここを出ようよ。早くコーのお城に行きたい」
「マジで?そ、それってどういう意味かなー、俺に説明してみてくれよ」
妄想がどんどん膨らんで口元が緩むのを必死で押さえながらラスを抱っこすると、ラスはコハクの瞼にキスをして首に抱き着いた。
「コーのこと沢山知りたいの。今まで聞いてなかったこととか、全部全部」
「へえ、俺に興味が沸いたんだ?俺の秘密とか知りたい系?」
「うん、知りたい系。だからコー、悲しくなるようなこと言わないで。お願い」
――ラスが不安を感じている。
空になった玉座に座ってラスを膝に乗せると額をこつんとぶつけた。
「教えてやる。全部全部」
不死とは一体どういうことなのか?
永遠の命を自分にも与えると言っていた。
そうしたら…いつかは死にたくなってしまう時が来るのだろうか?
死ねなくなるのに?
「コー、やだ…やだ…!」
「なんだよチビ、ちょっとからかっただけだろ。俺はずっとチビの傍に居るから安心しろって」
王はしばらく黙っていたが、グラースがまた王国を飛び出して行くのは目に見えていた。
兄妹の密かな関係…それにも気付いていて、2人を離すにはグラースを城から出すしかなかった。
「…カイ王から親書は来ている。リロイと言ったな、来なさい」
「!ありがとうございます!」
すれ違い様、リロイがふっと鼻で笑った。
…そんなリロイは好きじゃなくて、ラスはコハクに抱き着いたまま顔を上げなかった。
グラースも迷っていた。
この決断が正しかったのか…魔王とラスを引き裂く結果になってしまうかもしれないのに、これで良いのか――
「自分の決断に後悔するな。小僧の好きなようにさせればいい」
「だが…お前の命が危なくなるぞ」
「はあ?俺を誰だと思ってんだよ。なんで俺が“魔王”って言われてるのか知ってるだろ?俺が危険で攻撃的で最強の魔法使いだからだ」
コハクだけが魔法を使える理由――それをラスは聞いたことがなかった。
別に興味はなかったし、コハクが傍に居てくれればただそれだけでよかったのに。
「コー…早くここを出ようよ。早くコーのお城に行きたい」
「マジで?そ、それってどういう意味かなー、俺に説明してみてくれよ」
妄想がどんどん膨らんで口元が緩むのを必死で押さえながらラスを抱っこすると、ラスはコハクの瞼にキスをして首に抱き着いた。
「コーのこと沢山知りたいの。今まで聞いてなかったこととか、全部全部」
「へえ、俺に興味が沸いたんだ?俺の秘密とか知りたい系?」
「うん、知りたい系。だからコー、悲しくなるようなこと言わないで。お願い」
――ラスが不安を感じている。
空になった玉座に座ってラスを膝に乗せると額をこつんとぶつけた。
「教えてやる。全部全部」