魔王と王女の物語
2人で住むには手狭なほどの小さな家。
屋根は青く、庭には色とりどりの花が咲いていて、ラスが駆け寄ろうとすると、ドアが開いた。
「きゃっ」
「!あなた、どうやって………コハク…?」
「…よう、師匠」
現れたのは薄い桃色の長い髪をしていて、ブルーの瞳は少し垂れ、いかにも優しげな風貌をした美女だった。
コハクはラスをひょいと抱っこして穴が開くほどにラスを見ていた美女からラスの顔を隠した。
「どの位ぶりかしら…。ふふ、もう思い出せないわね」
「…チビが会いたいっていうから寄り道したんだ。元気だったか?」
「ええ、元気よ。魔法が使えなくなって不便なこともあるけど、1人でも何とかやっていけるものね」
「…チビ、中に入っとけ。すぐ行くからさ」
「うん、わかった」
疑うことを知らないラスが手を振ってきて、それに応えながらドアを閉めて、腕を組んで扉に寄りかかった。
「本当に元気だったか?怪しい奴は来なかったか?」
「相変らず心配性ね。この森を通ってここまで来る者なんて誰も居ないわ。ほら見て、畑も作ったし、魔法が使えなくてもやっていけてるのよ」
――まだ20代前半に見える若きローズマリー。
実年齢は恐らく自分の倍以上は生きていると思うが、最後まで笑ってはぐらかして教えてくれなかった。
「大賢者ローズマリーも魔法が使えなくなった、か。…何か俺にできることがあったらなんでもやるぜ」
「そう?じゃあ私にできないことをいくつかやってもらおうかしら。助かるわ」
――コハクの赤い瞳が和らぎ、ローズマリーの青い瞳は優しく笑んで、コハクの肩口を人差し指で突いた。
「あの子、可愛いわね。あなたが憑いているという噂の王女なのね?」
「知ってたか。チビを…ラスを俺の城に連れて行く。不死の魔法をかけて…ずっと一緒に生きてくんだ」
「そう…あなたにかけがえのない人ができて良かったわ。お茶くらい淹れるわよ、中に入って」
コハクを擦り抜けてドアノブに手をかけた手の上から、細いローズマリーの手をぎゅっと握った。
「…コハク」
「…ローズマリー…」
名を呼びあう。
屋根は青く、庭には色とりどりの花が咲いていて、ラスが駆け寄ろうとすると、ドアが開いた。
「きゃっ」
「!あなた、どうやって………コハク…?」
「…よう、師匠」
現れたのは薄い桃色の長い髪をしていて、ブルーの瞳は少し垂れ、いかにも優しげな風貌をした美女だった。
コハクはラスをひょいと抱っこして穴が開くほどにラスを見ていた美女からラスの顔を隠した。
「どの位ぶりかしら…。ふふ、もう思い出せないわね」
「…チビが会いたいっていうから寄り道したんだ。元気だったか?」
「ええ、元気よ。魔法が使えなくなって不便なこともあるけど、1人でも何とかやっていけるものね」
「…チビ、中に入っとけ。すぐ行くからさ」
「うん、わかった」
疑うことを知らないラスが手を振ってきて、それに応えながらドアを閉めて、腕を組んで扉に寄りかかった。
「本当に元気だったか?怪しい奴は来なかったか?」
「相変らず心配性ね。この森を通ってここまで来る者なんて誰も居ないわ。ほら見て、畑も作ったし、魔法が使えなくてもやっていけてるのよ」
――まだ20代前半に見える若きローズマリー。
実年齢は恐らく自分の倍以上は生きていると思うが、最後まで笑ってはぐらかして教えてくれなかった。
「大賢者ローズマリーも魔法が使えなくなった、か。…何か俺にできることがあったらなんでもやるぜ」
「そう?じゃあ私にできないことをいくつかやってもらおうかしら。助かるわ」
――コハクの赤い瞳が和らぎ、ローズマリーの青い瞳は優しく笑んで、コハクの肩口を人差し指で突いた。
「あの子、可愛いわね。あなたが憑いているという噂の王女なのね?」
「知ってたか。チビを…ラスを俺の城に連れて行く。不死の魔法をかけて…ずっと一緒に生きてくんだ」
「そう…あなたにかけがえのない人ができて良かったわ。お茶くらい淹れるわよ、中に入って」
コハクを擦り抜けてドアノブに手をかけた手の上から、細いローズマリーの手をぎゅっと握った。
「…コハク」
「…ローズマリー…」
名を呼びあう。