魔王と王女の物語
翌朝すっかり元気になったローズマリーと一緒に村へ向かい、
まだ子供だったコハクはこの時まだ自分が魔法を使って見せたら仲間に入れてもらえるものと思い込んでいた。
「小さな火球を見せるだけよ。それ以上はしては駄目」
「わかった」
同い年程の子供たちと遊びたくて魔法を覚えて、だからこそ信じ切っていたコハクは村へ入ると一目散に広場へ向かい、約束を交わしたガキ大将を発見して駆け寄り、自慢げに笑った。
「魔法見せてやるよ。見せたら仲間に入れてくれるって約束だったろ?」
「じゃあやってみろよ。おーい、みんな!」
ガキ大将の号令で続々と子供たちが集まってきて、コハクは皆に囲まれて嬉しくて仕方がなくて、
意識を集中させると指先に炎を灯し、皆が見れるように360度回って見せつけたのだが…
「そんな小さいのじゃ駄目だ。もっと大きいのを見せろよ」
「それは…お師匠に禁止されてるから…」
「そんなんじゃ仲間には入れてやらないからな!早くどっか行けよ」
“そうだそうだ”と皆から非難され…
『裏切られた』と強く感じたコハクは怒りが漲ってきて、怒りで満たされて、唸り声を上げながら手を振りかぶった。
噴水の真ん中に立っていた女神像がそのコハクの魔力を含んだ薙ぎで音を立てて粉々に砕け散った。
コハクの瞳の色は蛍光を落としたような鮮やかな赤い色で輝き、子供たちは…言ってはならないことを口にして、逃げて行った。
「ば、化け物!みんな逃げろ!!」
「俺が…化け、もの…?」
肩にあたたかく優しい手が乗った。
ゆるゆると振り返ると、悲しげに微笑んだローズマリーが立っていて…
その表情は怒られることよりもきつく、約束を破った子供たちに…
約束を破った自分に失望して俯くと、ローズマリーが指を振ると粉々になった女神像は元通りになり、手を繋がれて村の出入り口へと歩き出す。
「あなたは化け物なんかじゃないわ。とても優秀な魔法使いよ」
「お師匠…俺…」
「もっと学びなさい。もっと沢山色々教えてあげるわ」
――もう誰にも会わなくてもいい。
ローズマリーさえ居てくれれば――
まだ子供だったコハクはこの時まだ自分が魔法を使って見せたら仲間に入れてもらえるものと思い込んでいた。
「小さな火球を見せるだけよ。それ以上はしては駄目」
「わかった」
同い年程の子供たちと遊びたくて魔法を覚えて、だからこそ信じ切っていたコハクは村へ入ると一目散に広場へ向かい、約束を交わしたガキ大将を発見して駆け寄り、自慢げに笑った。
「魔法見せてやるよ。見せたら仲間に入れてくれるって約束だったろ?」
「じゃあやってみろよ。おーい、みんな!」
ガキ大将の号令で続々と子供たちが集まってきて、コハクは皆に囲まれて嬉しくて仕方がなくて、
意識を集中させると指先に炎を灯し、皆が見れるように360度回って見せつけたのだが…
「そんな小さいのじゃ駄目だ。もっと大きいのを見せろよ」
「それは…お師匠に禁止されてるから…」
「そんなんじゃ仲間には入れてやらないからな!早くどっか行けよ」
“そうだそうだ”と皆から非難され…
『裏切られた』と強く感じたコハクは怒りが漲ってきて、怒りで満たされて、唸り声を上げながら手を振りかぶった。
噴水の真ん中に立っていた女神像がそのコハクの魔力を含んだ薙ぎで音を立てて粉々に砕け散った。
コハクの瞳の色は蛍光を落としたような鮮やかな赤い色で輝き、子供たちは…言ってはならないことを口にして、逃げて行った。
「ば、化け物!みんな逃げろ!!」
「俺が…化け、もの…?」
肩にあたたかく優しい手が乗った。
ゆるゆると振り返ると、悲しげに微笑んだローズマリーが立っていて…
その表情は怒られることよりもきつく、約束を破った子供たちに…
約束を破った自分に失望して俯くと、ローズマリーが指を振ると粉々になった女神像は元通りになり、手を繋がれて村の出入り口へと歩き出す。
「あなたは化け物なんかじゃないわ。とても優秀な魔法使いよ」
「お師匠…俺…」
「もっと学びなさい。もっと沢山色々教えてあげるわ」
――もう誰にも会わなくてもいい。
ローズマリーさえ居てくれれば――