魔王と王女の物語
翌朝ローズマリーは昼を過ぎても2階から降りてこなかった。
“精神を集中するから”と言っていたが…
「そんなの一瞬でできるだろ?」
――最近のローズマリーは自分が魔法を使うと時々痛そうな顔をする。
その意味も全然わからなくて、最近は彼女の前で魔法を使うことは少なくなっていた。
そんな顔をされたくないから。
「お待たせ。じゃあはじめましょうか」
明らかに集中した顔をしていた。
瞳は魔力に溢れて光輝き、表情はとろんとしていて、
床に特別な白いチョークで複雑な魔法陣を描くとその中心にコハクを立たせて、念押しをしてきた。
「死にたくても死ねなくなるのよ。ばらばらにされてもいつか元通りになるわ。その間苦痛はずっと続くの。それでも知りたい?」
「知りてえ。存在する全ての魔法を知りてえ!」
「…伝授した後それを誰かに使ったり伝授したりはあなたに任せる。永遠を生きる者よ、ここに生あれ」
――ボールを持つような仕草をして、呪文を唱え始めた。
みるみる強大な魔力がその手に集まり、さすがのコハクも喉を鳴らして見守った。
「生あれ」
光が…
ローズマリーの掌から生まれた光が胸を打ち、みるみる全身に広がった。
痛くもなく、熱くも寒くもなく、この時は本当に不死の魔法が成功したのか、コハクにはわからなかったが――
「!ローズマリー!」
「う…っ」
魔力を使い果たしたのか、倒れ込んだローズマリーを抱き起してソファに座らせると、儚く微笑んで、頬に触れてきた。
「成功したわ…。あなたも…知識を追求して、探究して、魔法使いではなくて立派な賢者になって。私の、ように…」
「おい、大丈夫か?ちょっと横になっとけよ」
意識を手放したローズマリーをベッドに運んで一息ついて、本当に自分が不死になったのかを確かめるために外へと出て…
業火を右手に生むと、自身の身体に向けて放った。
「ぐ、ぅ…っ!」
…血は大量に溢れ、即死のはずなのに、傷はみるみる塞がってゆく。
火傷もみるみる治癒してゆく。
――そしてローズマリーは魔法を使えなくなった。
“精神を集中するから”と言っていたが…
「そんなの一瞬でできるだろ?」
――最近のローズマリーは自分が魔法を使うと時々痛そうな顔をする。
その意味も全然わからなくて、最近は彼女の前で魔法を使うことは少なくなっていた。
そんな顔をされたくないから。
「お待たせ。じゃあはじめましょうか」
明らかに集中した顔をしていた。
瞳は魔力に溢れて光輝き、表情はとろんとしていて、
床に特別な白いチョークで複雑な魔法陣を描くとその中心にコハクを立たせて、念押しをしてきた。
「死にたくても死ねなくなるのよ。ばらばらにされてもいつか元通りになるわ。その間苦痛はずっと続くの。それでも知りたい?」
「知りてえ。存在する全ての魔法を知りてえ!」
「…伝授した後それを誰かに使ったり伝授したりはあなたに任せる。永遠を生きる者よ、ここに生あれ」
――ボールを持つような仕草をして、呪文を唱え始めた。
みるみる強大な魔力がその手に集まり、さすがのコハクも喉を鳴らして見守った。
「生あれ」
光が…
ローズマリーの掌から生まれた光が胸を打ち、みるみる全身に広がった。
痛くもなく、熱くも寒くもなく、この時は本当に不死の魔法が成功したのか、コハクにはわからなかったが――
「!ローズマリー!」
「う…っ」
魔力を使い果たしたのか、倒れ込んだローズマリーを抱き起してソファに座らせると、儚く微笑んで、頬に触れてきた。
「成功したわ…。あなたも…知識を追求して、探究して、魔法使いではなくて立派な賢者になって。私の、ように…」
「おい、大丈夫か?ちょっと横になっとけよ」
意識を手放したローズマリーをベッドに運んで一息ついて、本当に自分が不死になったのかを確かめるために外へと出て…
業火を右手に生むと、自身の身体に向けて放った。
「ぐ、ぅ…っ!」
…血は大量に溢れ、即死のはずなのに、傷はみるみる塞がってゆく。
火傷もみるみる治癒してゆく。
――そしてローズマリーは魔法を使えなくなった。