魔王と王女の物語
不死の魔法をかけられた直後から…ローズマリーは魔法を使えなくなった。
コハクはすぐさま千里眼を使って世界中を覗くと、自分以外の全ての魔法使いが魔法を使えなくなっていたことを知った。
「魔法が…
「…とうとう、取り上げられてしまったわね」
「何をだよ…どういう意味だよ!」
俯いて苦笑するローズマリーの肩を強く揺さぶり、この大賢者が途方に暮れたような顔をしているのを見て、その場に片膝をついて膝の上で固く握られた手を包み込んだ。
「私たちはもう、必要とされなくなったのよ。人が頼ってくれるから私たち魔法使いは神の御業によって…代行者として人を助けてきたの。だけどもう…必要ないのね。人は自分の脚で立って、自分の頭と手を使って前へ進むことにしたのよ。だからもう…」
「ふざけんなよ、意味わかんねえよ!見ろ!俺は魔法を使えるぞ!どうしてだ!?」
――打ちひしがれたようなローズマリーの前で、最近契約を済ませたばかりのウンディーネを召喚し、
また痛そうな表情を浮かべて、ゆらゆらと揺れるウンディーネに手を差し伸べた。
「ごめんなさい、もう呼んであげられないわ」
『ローズマリー…私たちを召喚できる者はコハクだけになってしまったわ。あなたも魔力を失うなんて…』
「いつかこういう日が来るんじゃないかって思ってたのよ。私は今まで培ってきた知識を糧にいつも通りに人々を助けて、生きてゆくわ」
――信じられなかった。
赤子の自分を拾い、26年もの間傍に置いてくれて、
魔法も教えてくれて、一人前にしてくれたローズマリーはもう…魔法使いではないのだ。
「コハク…あなたにもここから出て行ってもらうわ。私は独りになりたいの」
「そんな…っ、ローズマリー!」
「これ以上惨めな気分にさせないで。いともたやすく魔法を使えるあなたを見たくないの。こんな自分がいやだからお願い…出て行って」
唇を噛み締めてこちらを見ようとしないローズマリーに詰め寄り、また肩を揺さぶって顔を上げさせようとしたが、
頑としてこちらを見てもらえずに…コハクは、打ちのめされた。
「…俺が…出て行けばいいんだな?」
それこそが、救い。
コハクはすぐさま千里眼を使って世界中を覗くと、自分以外の全ての魔法使いが魔法を使えなくなっていたことを知った。
「魔法が…
「…とうとう、取り上げられてしまったわね」
「何をだよ…どういう意味だよ!」
俯いて苦笑するローズマリーの肩を強く揺さぶり、この大賢者が途方に暮れたような顔をしているのを見て、その場に片膝をついて膝の上で固く握られた手を包み込んだ。
「私たちはもう、必要とされなくなったのよ。人が頼ってくれるから私たち魔法使いは神の御業によって…代行者として人を助けてきたの。だけどもう…必要ないのね。人は自分の脚で立って、自分の頭と手を使って前へ進むことにしたのよ。だからもう…」
「ふざけんなよ、意味わかんねえよ!見ろ!俺は魔法を使えるぞ!どうしてだ!?」
――打ちひしがれたようなローズマリーの前で、最近契約を済ませたばかりのウンディーネを召喚し、
また痛そうな表情を浮かべて、ゆらゆらと揺れるウンディーネに手を差し伸べた。
「ごめんなさい、もう呼んであげられないわ」
『ローズマリー…私たちを召喚できる者はコハクだけになってしまったわ。あなたも魔力を失うなんて…』
「いつかこういう日が来るんじゃないかって思ってたのよ。私は今まで培ってきた知識を糧にいつも通りに人々を助けて、生きてゆくわ」
――信じられなかった。
赤子の自分を拾い、26年もの間傍に置いてくれて、
魔法も教えてくれて、一人前にしてくれたローズマリーはもう…魔法使いではないのだ。
「コハク…あなたにもここから出て行ってもらうわ。私は独りになりたいの」
「そんな…っ、ローズマリー!」
「これ以上惨めな気分にさせないで。いともたやすく魔法を使えるあなたを見たくないの。こんな自分がいやだからお願い…出て行って」
唇を噛み締めてこちらを見ようとしないローズマリーに詰め寄り、また肩を揺さぶって顔を上げさせようとしたが、
頑としてこちらを見てもらえずに…コハクは、打ちのめされた。
「…俺が…出て行けばいいんだな?」
それこそが、救い。