魔王と王女の物語
「俺の城に着いたら…すぐ式を挙げよう」
ローズマリーの家に戻り、しっかり手を握って離さないその手の熱さがコハクの想いそのもののようで、
夢にまで見た“勇者様”との結婚――
こんな近くに運命の“勇者様”が居たとは。
今まで全然気付いていなかった自分が馬鹿みたいで唇を尖らせていると、耳にキスをされて息を吹きかけられた。
「こ、コーっ、やめてよっ!むずむずするからっ」
「ん?あーもしかして…俺に発情してんのか?早く言ってくれれば期待に応えたのにさあ」
コハクのことを愛していると実感した途端恥ずかしくなってしまい、ぽかぽかと頭を軽く殴るとそれも嬉しそうに笑われて家の前に立った。
「ちゃんとできるよな?」
「うん、ちゃんとできるよ。大丈夫だから」
ドアを開けて中に入ると、ローズマリーは薬草が入った瓶を手にして何かを作ろうとしていたところだった。
「あら、説得タイムは終了?」
「おかげ様で全部白状したぜ。なーチビ」
「うん。お師匠様、いやな態度を取っちゃってごめんなさい」
床に下ろしてもらうとぺこっと頭を下げた。
ローズマリーは頭を上げないラスの前に立つと、ラスの隣でにやにや嬉しそうに笑っているコハクを見上げて噴き出した。
「ラス王女…一国の王女がそんなに簡単に頭を下げては駄目よ」
「でも…私はもう王女じゃなくなるから…国には帰りません。コーのお嫁さんになるの」
「あらまあ」
「そういうわけだからさ、結婚式にはお師匠も呼んでやるよ」
血を吐くほどに求めていたものを見つけて手に入れたコハクがラスの背後に立って両肩に手を置くと抱き寄せた。
「そうね、愛弟子の結婚式だもの、出席させて頂くわ」
「ありがとう!」
無邪気に抱き着いてきたラスの頭を撫でてやっていると、明らかにコハクの表情が変わって嫉妬丸出しににじり寄り、ラスの手を引っ張って離れさせようとした。
「おいチビ、俺の隣に居ろって」
「やだ」
「ねえ、一緒にお風呂に入らない?薔薇を入れたから良い匂いがするわよ」
「入る!コーは駄目だよっ」
念を押されてがっくり。
ローズマリーの家に戻り、しっかり手を握って離さないその手の熱さがコハクの想いそのもののようで、
夢にまで見た“勇者様”との結婚――
こんな近くに運命の“勇者様”が居たとは。
今まで全然気付いていなかった自分が馬鹿みたいで唇を尖らせていると、耳にキスをされて息を吹きかけられた。
「こ、コーっ、やめてよっ!むずむずするからっ」
「ん?あーもしかして…俺に発情してんのか?早く言ってくれれば期待に応えたのにさあ」
コハクのことを愛していると実感した途端恥ずかしくなってしまい、ぽかぽかと頭を軽く殴るとそれも嬉しそうに笑われて家の前に立った。
「ちゃんとできるよな?」
「うん、ちゃんとできるよ。大丈夫だから」
ドアを開けて中に入ると、ローズマリーは薬草が入った瓶を手にして何かを作ろうとしていたところだった。
「あら、説得タイムは終了?」
「おかげ様で全部白状したぜ。なーチビ」
「うん。お師匠様、いやな態度を取っちゃってごめんなさい」
床に下ろしてもらうとぺこっと頭を下げた。
ローズマリーは頭を上げないラスの前に立つと、ラスの隣でにやにや嬉しそうに笑っているコハクを見上げて噴き出した。
「ラス王女…一国の王女がそんなに簡単に頭を下げては駄目よ」
「でも…私はもう王女じゃなくなるから…国には帰りません。コーのお嫁さんになるの」
「あらまあ」
「そういうわけだからさ、結婚式にはお師匠も呼んでやるよ」
血を吐くほどに求めていたものを見つけて手に入れたコハクがラスの背後に立って両肩に手を置くと抱き寄せた。
「そうね、愛弟子の結婚式だもの、出席させて頂くわ」
「ありがとう!」
無邪気に抱き着いてきたラスの頭を撫でてやっていると、明らかにコハクの表情が変わって嫉妬丸出しににじり寄り、ラスの手を引っ張って離れさせようとした。
「おいチビ、俺の隣に居ろって」
「やだ」
「ねえ、一緒にお風呂に入らない?薔薇を入れたから良い匂いがするわよ」
「入る!コーは駄目だよっ」
念を押されてがっくり。