魔王と王女の物語
「どれにしようかな…」
――その頃水晶の森では、リロイとティアラが最も魔力の濃い水晶を探し求めて歩き回っていた。
その少し後ろからグラースが2人を監視して、ティアラはリロイの横を行きながら、ずっとリロイの顔を見上げていた。
『聖石の代わりに水晶の力を借りましょう』
――便利ではあるがひとつ間違うと国をも崩壊させる力を、魔法剣に――
それには何度も反対したのにリロイは頑として首を縦には振らず、無駄だとわかりながらもティアラはなお説得を続けていた。
「ひとつ間違えば、水晶の力を引き出す私も…危ない目に遭うのに…」
とうとう立ち止まって唇を噛み締めると、リロイはしばらくそんなティアラを見つめていたが、目の前に立ってその細い肩に両手を置いた。
「今は大人しくてもあの影は…魔王はまた世界を狙います。どうして僕の気持ちがあなたに伝わらないんだ」
「でも…魔王は危険な存在には見えません!リロイ、あなたは今目の前が曇っています。そんな気持ちでは水晶の加護なんて…」
「ティアラ…お願いします。この魔法剣に水晶の加護を。後は僕が1人でやります。ティアラ、どうすれば僕の願いを叶えてくれるのですか?」
――目の前で魔法剣を水平に持ちながら片膝をついて差し出してきたリロイは、やはりティアラにとっては“勇者様”にしか見えない。
…ラスしか見えていないことは知っている。
だからこそ、思い出が欲しい。
「…成功したら…1度だけでいい。私と…」
「わかりました。なんでもします。さあティアラ、行きましょう」
最も大きく、最も魔力を蓄えている水晶を求め、ティアラの手を引きながら歩き出した。
グラースは後ろからついて行きながら剣の柄に手をかけた。
「グラース…あなたが僕たちを見張っているのは知っています。だけど邪魔しない方がいい。…僕に手を挙げさせないでください」
「…私はラスの味方だ」
「僕だってラスの味方です。ラスは盲目になっているだけなんだ。僕がラスの目を覚まさせてやらないと」
――盲目になっているのは、リロイの方だ。
ティアラとグラースはそう思いつつも、リロイを止められないでいた。
――その頃水晶の森では、リロイとティアラが最も魔力の濃い水晶を探し求めて歩き回っていた。
その少し後ろからグラースが2人を監視して、ティアラはリロイの横を行きながら、ずっとリロイの顔を見上げていた。
『聖石の代わりに水晶の力を借りましょう』
――便利ではあるがひとつ間違うと国をも崩壊させる力を、魔法剣に――
それには何度も反対したのにリロイは頑として首を縦には振らず、無駄だとわかりながらもティアラはなお説得を続けていた。
「ひとつ間違えば、水晶の力を引き出す私も…危ない目に遭うのに…」
とうとう立ち止まって唇を噛み締めると、リロイはしばらくそんなティアラを見つめていたが、目の前に立ってその細い肩に両手を置いた。
「今は大人しくてもあの影は…魔王はまた世界を狙います。どうして僕の気持ちがあなたに伝わらないんだ」
「でも…魔王は危険な存在には見えません!リロイ、あなたは今目の前が曇っています。そんな気持ちでは水晶の加護なんて…」
「ティアラ…お願いします。この魔法剣に水晶の加護を。後は僕が1人でやります。ティアラ、どうすれば僕の願いを叶えてくれるのですか?」
――目の前で魔法剣を水平に持ちながら片膝をついて差し出してきたリロイは、やはりティアラにとっては“勇者様”にしか見えない。
…ラスしか見えていないことは知っている。
だからこそ、思い出が欲しい。
「…成功したら…1度だけでいい。私と…」
「わかりました。なんでもします。さあティアラ、行きましょう」
最も大きく、最も魔力を蓄えている水晶を求め、ティアラの手を引きながら歩き出した。
グラースは後ろからついて行きながら剣の柄に手をかけた。
「グラース…あなたが僕たちを見張っているのは知っています。だけど邪魔しない方がいい。…僕に手を挙げさせないでください」
「…私はラスの味方だ」
「僕だってラスの味方です。ラスは盲目になっているだけなんだ。僕がラスの目を覚まさせてやらないと」
――盲目になっているのは、リロイの方だ。
ティアラとグラースはそう思いつつも、リロイを止められないでいた。