魔王と王女の物語
「じゃあな。式の日取りが決まったらベルルを使いにやらせる」
風呂に入ってさらにまた美味しそうになったラスを抱っこしてローズマリーに手を振ると、
出会った頃から全く外見の変わっていない師匠は首を傾げた。
「使役してるっていう黒妖精ね?会いたいんだけど今居ないの?」
「ああ、別件で今使いに出してる。じゃあな。チビも挨拶しとけよ」
またすぐに会えると聞いて、ラスも軽い感じでローズマリーに手を振ると、
最初は少し嫌いだったほんのりピンク色の髪の大賢者はふわっと笑って手を振り返してくれた。
「またねお師匠様。薔薇のアロマオイルをありがとう」
「ええ。真っ黒な狼に襲われないように気を付けるのよ」
「?うん、コーが守ってくれるから大丈夫だよ」
コハクがちっと舌打ちすると水晶の森を足早に抜けた。
リロイたちの姿はなく、さすがにラスが不安げな声を上げた。
「リロイたちはどこ?」
「もしかしたらこの先の村に居るかもな。ほら、話したろ?俺のこと“化け物”って言った奴らが居た村だ」
茶化してそう言ったが、ラスは何も言わずに笑いかけてきて、あろうことか頭をなでなでされて、魔王の顔はみるみる赤くなっていった。
「や、やめろよな!俺はチビよりすっげぇ年上なんだぞ」
「じゃあもうコーのこと悪く言う人は村には居ないんでしょ?ね、行ってみようよ。色んなとこを見て回りたいの」
――地図上でしか知らなかった国や村――
様々な場所を見て回って、人々の暮らしをはじめて体験して、そして最終地はコハクの城…
「ならグリーンストーン王国も行っとかないとな。チビのびっくりする顔が早く見たいなー」
「どうして私がびっくりするの?」
押しても引いてもこれだけは教えてもらえずに、馬車ではなく馬に2人乗りして件の村へ入ると、コハクがふっと笑った。
「懐かしいな」
「でも魔法を覚えるきっかけになったんだから悪いことばかりじゃないでしょ?」
「チビ…」
頬ずりしまくっていると、近くの宿屋からティアラたちが姿を見せた。
「…ん?お前…なんか…」
鼻の利くコハクが、瞳を細めた。
風呂に入ってさらにまた美味しそうになったラスを抱っこしてローズマリーに手を振ると、
出会った頃から全く外見の変わっていない師匠は首を傾げた。
「使役してるっていう黒妖精ね?会いたいんだけど今居ないの?」
「ああ、別件で今使いに出してる。じゃあな。チビも挨拶しとけよ」
またすぐに会えると聞いて、ラスも軽い感じでローズマリーに手を振ると、
最初は少し嫌いだったほんのりピンク色の髪の大賢者はふわっと笑って手を振り返してくれた。
「またねお師匠様。薔薇のアロマオイルをありがとう」
「ええ。真っ黒な狼に襲われないように気を付けるのよ」
「?うん、コーが守ってくれるから大丈夫だよ」
コハクがちっと舌打ちすると水晶の森を足早に抜けた。
リロイたちの姿はなく、さすがにラスが不安げな声を上げた。
「リロイたちはどこ?」
「もしかしたらこの先の村に居るかもな。ほら、話したろ?俺のこと“化け物”って言った奴らが居た村だ」
茶化してそう言ったが、ラスは何も言わずに笑いかけてきて、あろうことか頭をなでなでされて、魔王の顔はみるみる赤くなっていった。
「や、やめろよな!俺はチビよりすっげぇ年上なんだぞ」
「じゃあもうコーのこと悪く言う人は村には居ないんでしょ?ね、行ってみようよ。色んなとこを見て回りたいの」
――地図上でしか知らなかった国や村――
様々な場所を見て回って、人々の暮らしをはじめて体験して、そして最終地はコハクの城…
「ならグリーンストーン王国も行っとかないとな。チビのびっくりする顔が早く見たいなー」
「どうして私がびっくりするの?」
押しても引いてもこれだけは教えてもらえずに、馬車ではなく馬に2人乗りして件の村へ入ると、コハクがふっと笑った。
「懐かしいな」
「でも魔法を覚えるきっかけになったんだから悪いことばかりじゃないでしょ?」
「チビ…」
頬ずりしまくっていると、近くの宿屋からティアラたちが姿を見せた。
「…ん?お前…なんか…」
鼻の利くコハクが、瞳を細めた。