魔王と王女の物語
真っ黒い剣が大きな音を立ててコハクの手から落下した。
金属音がアーチ状の部屋を鐘の音を鳴らすかのようにして反射し、誰もが息を呑んだ。
ただ1人…
コハクだけが、何かに飽きたような顔をして両腕を広げて完全に無防備な状態になった。
「コー、何してるの!?」
「こうするしかねえんだ」
「だから何を!?」
――ラスが自分を選んだのはわかっている。
だが、リロイが居る限り…ラスの瞳を一生自分に縛り付けておくことはできない。
だからコハクは…最期の方法を選んだ。
「よう小僧、お前に呪いをかけてやるよ」
「…呪いなんか僕は信じない。それより本気で殺すぞ。いいのか!?」
ラスは棺から身体を起こして限界まで瞳を見開くと、ゆっくりと階段を下りて行く。
コハクはリロイに向けて長い腕を伸ばすと、リロイの顔を指して呪いをかけた。
「俺が死ねば、チビの魂は一生俺に囚われる。俺が今までずっと願ってきたことだ。そしてお前はチビに憎まれる。お前の好きだったチビは、居なくなる」
「…!お前…!」
「だから俺を殺せよ。俺はチビの魂を手に入れた。今まで生きてきた中で1番欲しかったものを手に入れた。もう今生に悔いはない」
「コー、なに言ってるの!?やめて、やめてリロイ!コー、一緒に生きてくって言ったでしょ!?子供が沢山欲しいって…!」
「そう思ってたけどチビはこいつが死ぬのはいやだろ?だけど俺はこいつを殺さないと俺が殺されるんだ。…チビが悲しむ顔は見たくない」
――ラスにしてみれば、取捨選択はもうすでに済ませていたのに…
自分が傷ついて苦しそうにしているリロイを気にすること、
そして…
何よりも、自分の心を優先してくれること――
嬉しいけれど、その方法は間違っている。
「僕が…ラスに憎まれる、だと…?そんなの最初からわかってる!何もかも心に決めてここに来たんだ!影…お前を倒すことだけを毎日祈ってきた!」
「だから、やれって言ってるだろ?チビ…天国で会おうな。あ、俺は地獄行きか」
コハクの決意は、変わらない。
金属音がアーチ状の部屋を鐘の音を鳴らすかのようにして反射し、誰もが息を呑んだ。
ただ1人…
コハクだけが、何かに飽きたような顔をして両腕を広げて完全に無防備な状態になった。
「コー、何してるの!?」
「こうするしかねえんだ」
「だから何を!?」
――ラスが自分を選んだのはわかっている。
だが、リロイが居る限り…ラスの瞳を一生自分に縛り付けておくことはできない。
だからコハクは…最期の方法を選んだ。
「よう小僧、お前に呪いをかけてやるよ」
「…呪いなんか僕は信じない。それより本気で殺すぞ。いいのか!?」
ラスは棺から身体を起こして限界まで瞳を見開くと、ゆっくりと階段を下りて行く。
コハクはリロイに向けて長い腕を伸ばすと、リロイの顔を指して呪いをかけた。
「俺が死ねば、チビの魂は一生俺に囚われる。俺が今までずっと願ってきたことだ。そしてお前はチビに憎まれる。お前の好きだったチビは、居なくなる」
「…!お前…!」
「だから俺を殺せよ。俺はチビの魂を手に入れた。今まで生きてきた中で1番欲しかったものを手に入れた。もう今生に悔いはない」
「コー、なに言ってるの!?やめて、やめてリロイ!コー、一緒に生きてくって言ったでしょ!?子供が沢山欲しいって…!」
「そう思ってたけどチビはこいつが死ぬのはいやだろ?だけど俺はこいつを殺さないと俺が殺されるんだ。…チビが悲しむ顔は見たくない」
――ラスにしてみれば、取捨選択はもうすでに済ませていたのに…
自分が傷ついて苦しそうにしているリロイを気にすること、
そして…
何よりも、自分の心を優先してくれること――
嬉しいけれど、その方法は間違っている。
「僕が…ラスに憎まれる、だと…?そんなの最初からわかってる!何もかも心に決めてここに来たんだ!影…お前を倒すことだけを毎日祈ってきた!」
「だから、やれって言ってるだろ?チビ…天国で会おうな。あ、俺は地獄行きか」
コハクの決意は、変わらない。