魔王と王女の物語
聖石のネックレスが功を奏しているのかその後は魔物の襲撃もなく、


天にそびえ立つような白亜の美しい城が見えた時、興奮したラスが馬車の中で立ち上がって天井に頭をぶつけた。


「チビ、落ち着けって。俺はどうすっかなー、フィリアの爆乳は拝みたいけど嫌われてるしなー」


「大丈夫だよ、コーは私が守ってあげるから」


白いマーメイドドレスを着たラスが小首を傾げて可愛く笑ったので、


先程の怒りが完全に消し飛んだコハクは…ラスと目を合せたまま、真っ黒なマントを外した。


「俺の身体、見たいんだろ?さすがにフィリアに会うにはこの格好じゃまずいからな、仕方ないから今だけ脱いでやる」


――マントの下は…


真っ黒な長袖のシャツに、身体のラインがくっきりと浮き出ている真っ黒なパンツ。


ボタンは第3ボタンまで開けていて、それを見たラスは思わず目を逸らした。


「チビ?」


「な、なんか見慣れない。コーはやっぱりマントつけてた方がいいんじゃない?」


「なーに恥ずかしがってんだ?こっち来い!」


「やーだー!」


しきりに恥ずかしがるラスに萌えた魔王が無理矢理ラスを抱き寄せて膝に乗っけると、

リロイにキスされた余韻がまだ残っている自身の唇を塞ぎつつも、


間近にあるコハクの薄く口角の上がった唇をつい凝視してしまって、その唇がゆっくりと開く。


「友情の証、したいのか?してやってもいいぜ」


「べ、別にいいもん…」


「よかねえだろ、今ガン見してたじゃねえか。ほら、目ぇ閉じろ」


「うん」


キスの気持ちよさに目覚めたのか、素直に瞳を閉じたラスの腰を撫でつつ胸をさらりと撫でつつ、


ちゅっとキスをすると…どこか物足りなさそうな表情をした。


「なんだその顔は。可愛いんだよ!」


「コー、それって…違うパターンのもあるんでしょ?」


「お前…どこそんなの知ったんだよ」


「…してくれないならいいの」


膝から離れようとした時…


「ん……コー…」


「これがお望みだったんだろ?プリンセス」


リロイよりも激しいキス。


とろけて、自分を見失う。
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