魔王と王女の物語
“ラス王女の影には魔王が取り憑いている”
レッドストーン王国を守る“緋色の騎士団”にはすでにフィリアからそう通達があったため、
ラスの少し斜め後ろを歩いているコハクには何人もの騎士団が張り付いて警戒をしていた。
本人は城下町の素晴らしさよりもそうやって警戒されることの方が楽しいらしく、
ひゅっと指を振ると、4人ほどの騎士団たちの脚が勝手に前進して、ラスたちを追い越してしまった。
「コー、悪戯しちゃ駄目だよ」
「だってこいつらウザいんだもん」
国賓として扱われているラスの姿はそれは可愛らしく可憐で、
緋色の騎士団に守られながら…
そして隣を歩く金髪の若い男の美貌に若い娘たちは酔いしれながらその姿を見守る。
「影、勝手なことをするな!」
「ちっ、お前に注意されると無性に腹が立つな」
――またコハクも異常に顔が整っているため、“ちょいワル”の雰囲気がまたもや娘たちを興奮させ、とろけるような視線を送ってきたが、
基本ラス命のコハクは眼中にも入れず、細い肩を指で突く。
「フィリアに俺のこと色々聞かれても答えるなよ。あと信じないように」
「またそれ?コーが悪い人って言われるから?大丈夫だよ、コーは悪い人じゃないもん。ねー、リロイ」
「え…、そいつは悪い奴…ごほっ」
禍々しく笑い、リロイに向かって胸を突くような仕草をすると、
途端リロイの身体が折れて胸を押さえ、咳き込んだ。
「リロイ?どうしたの?」
「な、何でもないよ」
底意地の悪い魔王にいじめられつつもぎっと睨んで牽制するがコハクは全く動じた様子はなく、白亜の城の前に到着した。
「綺麗!」
「ゴールドストーン王国の城も素晴らしいけど、ここもすごいね」
2人で城を見上げていると…
「ラス王女、ようこそ。お久しぶりね」
「フィリア様!」
――白いローブに身を包み、艶やかでまっすぐな長い髪は腰まで届き、
そして神に仕える聖女の如き微笑を浮かべたフィリアが両腕を広げて、城の前でラスを抱きしめる。
「大きくなったわ。…カイ陛下はお元気?」
…フィリアはコハクを睨んだ。
レッドストーン王国を守る“緋色の騎士団”にはすでにフィリアからそう通達があったため、
ラスの少し斜め後ろを歩いているコハクには何人もの騎士団が張り付いて警戒をしていた。
本人は城下町の素晴らしさよりもそうやって警戒されることの方が楽しいらしく、
ひゅっと指を振ると、4人ほどの騎士団たちの脚が勝手に前進して、ラスたちを追い越してしまった。
「コー、悪戯しちゃ駄目だよ」
「だってこいつらウザいんだもん」
国賓として扱われているラスの姿はそれは可愛らしく可憐で、
緋色の騎士団に守られながら…
そして隣を歩く金髪の若い男の美貌に若い娘たちは酔いしれながらその姿を見守る。
「影、勝手なことをするな!」
「ちっ、お前に注意されると無性に腹が立つな」
――またコハクも異常に顔が整っているため、“ちょいワル”の雰囲気がまたもや娘たちを興奮させ、とろけるような視線を送ってきたが、
基本ラス命のコハクは眼中にも入れず、細い肩を指で突く。
「フィリアに俺のこと色々聞かれても答えるなよ。あと信じないように」
「またそれ?コーが悪い人って言われるから?大丈夫だよ、コーは悪い人じゃないもん。ねー、リロイ」
「え…、そいつは悪い奴…ごほっ」
禍々しく笑い、リロイに向かって胸を突くような仕草をすると、
途端リロイの身体が折れて胸を押さえ、咳き込んだ。
「リロイ?どうしたの?」
「な、何でもないよ」
底意地の悪い魔王にいじめられつつもぎっと睨んで牽制するがコハクは全く動じた様子はなく、白亜の城の前に到着した。
「綺麗!」
「ゴールドストーン王国の城も素晴らしいけど、ここもすごいね」
2人で城を見上げていると…
「ラス王女、ようこそ。お久しぶりね」
「フィリア様!」
――白いローブに身を包み、艶やかでまっすぐな長い髪は腰まで届き、
そして神に仕える聖女の如き微笑を浮かべたフィリアが両腕を広げて、城の前でラスを抱きしめる。
「大きくなったわ。…カイ陛下はお元気?」
…フィリアはコハクを睨んだ。