魔王と王女の物語
旅の仲間
コハクに抱っこされたまま城内を探検して、
その間に相変らず緋色の騎士団の監視はあったのだが、ラスもコハクも気にせずに、白で統一された美しい城内を楽しんでいた。
「とっても素敵なお城だね。あ、コー、あっち!あっちに行って!
「はいはい」
ラスが指さす方向には、ゴールドストーン王国にもあった急な傾斜の長い階段があった。
それは城の中心部にあり、恐らくその先には、聖石が収められている部屋があるのだろう。
「魔物の襲撃を守ってくれてる聖石があるんだよね。ねえ、コーの力で魔物はどうにもできないの?」
数センチの距離でグリーンの瞳を瞬かせているラスの頬にちゅっとキスをして、首を振った。
「無理無理。あいつら話がわかる奴らじゃないし。ま、捕まえて改造して色々悪戯はしたけどな」
「へえー、コーはやっぱりすごい魔法使いなんだね」
うっすらとではあるが、コハクがかつて“悪い人”だったことはわかっているのだが、
ラスにとってはそれはどうでもよくて、コハクは今も昔も優しくしてくれるから大好き。
今も腰をくすぐってきながら笑い声を上げさせられて、それを楽しそうにして見つめている。
「そこの魔王、城内でいちゃいちゃするな」
「…おぉ?お前は…」
――声をかけてきた男はやたら背が高く、白いローブを着て、背中半ばまである黒く長い髪を1本にまとめている見覚えのある男だった。
先が鉤爪城になった樫の杖をつきながら近寄ってくる男に少し驚きつつ、肩を竦める。
「えーと、オーフェンだっけ?魔法も使えねえのにカイの旅に同行して、呪術で俺を苦しめた男だ。まさかフィリアと結婚したのか?」
「そのまさかだ。相変らず性格の悪そうな顔をしているな。…これはラス王女、失礼いたしました」
「あ、いえ…。はじめましてラスです」
コハクから降ろしてもらって頭を下げると、オーフェンは瞳を細めて顎に手を添え、しげしげとラスの顔を眺めた。
「カイによく似ている。こんなにもお可愛らしいのだから、今後あなたに求婚する男が絶えないでしょうね」
「え」
「そこのガリガリ、チビを見んな。減るだろうが!」
イライラ。
その間に相変らず緋色の騎士団の監視はあったのだが、ラスもコハクも気にせずに、白で統一された美しい城内を楽しんでいた。
「とっても素敵なお城だね。あ、コー、あっち!あっちに行って!
「はいはい」
ラスが指さす方向には、ゴールドストーン王国にもあった急な傾斜の長い階段があった。
それは城の中心部にあり、恐らくその先には、聖石が収められている部屋があるのだろう。
「魔物の襲撃を守ってくれてる聖石があるんだよね。ねえ、コーの力で魔物はどうにもできないの?」
数センチの距離でグリーンの瞳を瞬かせているラスの頬にちゅっとキスをして、首を振った。
「無理無理。あいつら話がわかる奴らじゃないし。ま、捕まえて改造して色々悪戯はしたけどな」
「へえー、コーはやっぱりすごい魔法使いなんだね」
うっすらとではあるが、コハクがかつて“悪い人”だったことはわかっているのだが、
ラスにとってはそれはどうでもよくて、コハクは今も昔も優しくしてくれるから大好き。
今も腰をくすぐってきながら笑い声を上げさせられて、それを楽しそうにして見つめている。
「そこの魔王、城内でいちゃいちゃするな」
「…おぉ?お前は…」
――声をかけてきた男はやたら背が高く、白いローブを着て、背中半ばまである黒く長い髪を1本にまとめている見覚えのある男だった。
先が鉤爪城になった樫の杖をつきながら近寄ってくる男に少し驚きつつ、肩を竦める。
「えーと、オーフェンだっけ?魔法も使えねえのにカイの旅に同行して、呪術で俺を苦しめた男だ。まさかフィリアと結婚したのか?」
「そのまさかだ。相変らず性格の悪そうな顔をしているな。…これはラス王女、失礼いたしました」
「あ、いえ…。はじめましてラスです」
コハクから降ろしてもらって頭を下げると、オーフェンは瞳を細めて顎に手を添え、しげしげとラスの顔を眺めた。
「カイによく似ている。こんなにもお可愛らしいのだから、今後あなたに求婚する男が絶えないでしょうね」
「え」
「そこのガリガリ、チビを見んな。減るだろうが!」
イライラ。