魔王と王女の物語
暴漢の身長は180㎝近くあって、
まだ9歳のリロイは小さく、
剣を打ち合っているうちに徐々に息が上がってきた。
「このくらいで引け!」
「いやだ!お前を倒す!」
守ってくれるリロイに安心感を感じて、
ラスはついリロイに声援を送り、集中を欠かせてしまった。
「リロイ、頑張って!」
「うん!…っ、うぅっ!」
声援をくれたラスの顔を見ようと一瞬気を削いだ瞬間、
リロイの左のわき腹を暴漢の剣が貫通した。
「う、ぁ…っ」
「リロイ!リロイ!!」
白いシャツがみるみる鮮血に染まり、
暴漢の存在も忘れてラスが駆け寄り、身体を起こした。
「しっかりして、死んじゃやだあ!」
「ら、す…」
『ちっ、仕方ないな』
もう意識が薄れかけたリロイの様子に、ようやくコハクが舌打ちをしつつも顔面蒼白のラスに呼びかけた。
『チビ、惚れてもいいけどまだ抱いてはやらないからな』
「え?え……え、コー…?」
――ラスの影が…盛り上がった。
縦に細く大きく盛り上がり、
風船のようだった影から長い手足が生えて、
前髪も襟足も全体的に長めで、
俯き加減だが口角が上がっている男が…
コハクの横顔に、ラスは見入ってしまった。
「よう、ちょっと準備運動してやるよ」
驚いて言葉の出ない暴漢が後ずさりしたが、
ラスの影から木陰の作り出す影を伝って男に近寄るコハクの足並みは余裕たっぷりで、
そして、叫んだ。
「ば、化け物!!!」
「え…っ」
脚をもつれさせながら逃げ出していく男の背中に、コハクがひゅっと人差し指を振った。
途端に、近くに生えていた木のツタが暴漢の脚に絡まり、その場に倒れ込む。
「化け物…私…化け物なの…?」
「…違うよ、俺が化け物。カイがこの前言ってたろ?魔物の言うことはあんまり信じるなってさ」
ラスとコハクの目が合う。
グリーンとレッドの瞳がぶつかり合い、
あまりに綺麗なコハクの美貌に頬が赤くなるのを抑えられなかった。
まだ9歳のリロイは小さく、
剣を打ち合っているうちに徐々に息が上がってきた。
「このくらいで引け!」
「いやだ!お前を倒す!」
守ってくれるリロイに安心感を感じて、
ラスはついリロイに声援を送り、集中を欠かせてしまった。
「リロイ、頑張って!」
「うん!…っ、うぅっ!」
声援をくれたラスの顔を見ようと一瞬気を削いだ瞬間、
リロイの左のわき腹を暴漢の剣が貫通した。
「う、ぁ…っ」
「リロイ!リロイ!!」
白いシャツがみるみる鮮血に染まり、
暴漢の存在も忘れてラスが駆け寄り、身体を起こした。
「しっかりして、死んじゃやだあ!」
「ら、す…」
『ちっ、仕方ないな』
もう意識が薄れかけたリロイの様子に、ようやくコハクが舌打ちをしつつも顔面蒼白のラスに呼びかけた。
『チビ、惚れてもいいけどまだ抱いてはやらないからな』
「え?え……え、コー…?」
――ラスの影が…盛り上がった。
縦に細く大きく盛り上がり、
風船のようだった影から長い手足が生えて、
前髪も襟足も全体的に長めで、
俯き加減だが口角が上がっている男が…
コハクの横顔に、ラスは見入ってしまった。
「よう、ちょっと準備運動してやるよ」
驚いて言葉の出ない暴漢が後ずさりしたが、
ラスの影から木陰の作り出す影を伝って男に近寄るコハクの足並みは余裕たっぷりで、
そして、叫んだ。
「ば、化け物!!!」
「え…っ」
脚をもつれさせながら逃げ出していく男の背中に、コハクがひゅっと人差し指を振った。
途端に、近くに生えていた木のツタが暴漢の脚に絡まり、その場に倒れ込む。
「化け物…私…化け物なの…?」
「…違うよ、俺が化け物。カイがこの前言ってたろ?魔物の言うことはあんまり信じるなってさ」
ラスとコハクの目が合う。
グリーンとレッドの瞳がぶつかり合い、
あまりに綺麗なコハクの美貌に頬が赤くなるのを抑えられなかった。