お姫様だっこ
あたしは智也の腕を放した。
今度は放せた。
綺麗な瞳がマタあたしを見つめる。
もう揺るがない。
はっきり答えなきゃいけないんだ。
智也の気持ちを聞いてしまった以上ハッキリしなきゃいけない。
「智也…ごめんなさい」
頭を下げて謝った。
「美優?」
「あたし…智也のこと大好きだよ。でもそれは友達としての大好きなの。智也の隣は居心地がいいから…つい寄りかかりそうになる。でもそれは…愛ではないんだ」
「でも!居心地いいんなら俺の傍にいたらいいじゃん!ずっと傍にいたら愛が芽生えてくるんじゃないかな?」
「ダメなの」
智也の顔が暗くなる…
「俺が忘れさせる!」
「だめ…」
「俺のそばにいろよ!」
「ダメなのっ!!あたしは…研じゃないとダメなの」
静かな公園に響き渡る
あたしと智也の声。
月があたし達を見下ろしていた――