お姫様だっこ
廊下を歩いていると
教室の前に人だかりが出来ていた。
なんだろう?
近付いていくと人だかりの真ん中に誰かいる…?
その光景を見たあたしは凍りつく。
「あっ、美優!!どーしよう、これ。どぉなってんの!?」
菜帆があたしの体を揺らす。
そう…
人だかりの真ん中には
研と智也が居たんだ。
「ふざけるな!!」
そう言いながら研が智也を殴ってた。
何が起きてるか理解できずにいた。
その時
智也の言葉が頭をよぎった。
『研に美優を奪うって言う』
――――――まさか!
あたしは人だかりをかき分けて2人の元へ近づいていった。
「やめて!研!!智也!!…」
殴り合っていた2人が手を止めてあたしを見た。
「美優…」
研があたしを見てる…
あたしの名前を呼んだ…
その瞬間
涙が零れた…
どんどん溢れ出す。
だんだんと研の顔がぼやけていく 。
だって…
やっと研と目を合わす事が出来たんだもん。
やっと「美優」って呼んでくれたんだもん…
嬉しくて…。