お姫様だっこ
愛してる…
あの子はなんなの?
暫く歩いていた。
此処がどこかも分からないまま。
歩き疲れて近くにあったベンチに座った。俯いてると涙が頬を伝ってスカートに染み込んでいった。
ポタポタと溢れる涙。
あたしの涙につられるかのように空も泣き出した。
「雨…」
さっきまで晴れてたのに。いつのまにか雲に覆われて太陽は隠れちゃったんだね。
あたしはどうすればいいの?
きっと梨央は上手い事言って研を自分の物にしてるね。慎みたいにお馬鹿じゃないからバレずに上手くやってるはずだよ。
あたしは梨央に負けたのかな…
誰にも負けない自信があった。
でも、その自信が崩れようとしてる。
ベンチに座ったまま雨に打たれてた。ずぶ濡れになる体。通る人達がジロジロ見てくる。
もうそんな事気にならなかった。
どうでもいい…
その時、
パシャッ…。
誰かがあたしの目の前で立ち止まった。