愛されたかった悪女
そんなフリはわざと私に気を引きたいのだと考えた。


きっと私が欲しいはず。


パーティーがお開きになると、足元のふらつく私を支え、迎えに来た車でアパートメントに向かい、部屋の前まで送ってくれた。


彼の身体に密着するようにもたれているのに、彼は表情を変えないまま「おやすみ」と言って私から離れる。


「ま、待って」


私の負けだった。


もちろん、彼がゲームをしているとは思ってもいないけれど、私の方が彼を欲しかった。


今まで私がトップモデルになる為に利用してきた男達とは彼は違う人種。


< 10 / 116 >

この作品をシェア

pagetop