愛されたかった悪女
大きな紙袋を抱きかかえるようにして店を出た。


気持ちはジョンのアパートメントに戻るつもりだった……けれど、脚は反対に歩きはじめる。


ジョンが待っている……。


早く戻らないと……。


頭ではそう考えるけれど、身体は違う。


ジョンの傍に居てはいけない……私は彼を不幸にする。


でも……でも……少しだけ幸せを味わってもいい?


脚が止まる。


ジョンが傍に居れば私の心は穏やかになれる気がした。










戻らなきゃ……。


方向転換し、ジョンのアパートメントに向かった。


ジョンのアパートメントを目指しながら、雲一つない青空のように心が澄みすがすがしい気持ちだった。


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