愛されたかった悪女
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ベラチエのショーは幻想的な雰囲気をかもし出し、最高だった。


それもサーシャという素晴らしいモデルのおかげだろう。


多額な保険がかけられているという、光り輝くプラチナブロンド。


彼女が歩くたびに光る粉が舞い上がるように見える。


まるで妖精のようだ。


最後にデザイナーのベラチエと出てきたサーシャは最高の微笑みを浮かべ、時には隣を歩くベラチエに甘い笑みを浮かべる。


そう、このふたりは恋人同士。


幸せそうなふたりを見て、私も負けないくらい幸せだと感じる。


ショーの間中、ジョンの手は私の手を握っていた。


守られている。


愛されている。


今、ここで私は愛されたかったのだと悟った。


私は愛し、愛されたかったのだ。


もう過去は振り返らない。


未来だけを見つめて、これからも愛し、愛されていく。


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