愛されたかった悪女
いつもよりも薄い布地のナイトドレスを着て、胸の谷間からはほのかに香るハヤトの好きな香水をふりまいた。



「ハヤト……」


潤ませた瞳で上目づかいに彼を見て、唇から少しだけ舌を見せる。


キスをねだろうと顔を近づけると、ハヤトはワイングラスを置いて立ち会った。


「これから君と寝ることはない」


「ハヤト!?」


冷たい声が信じられなかった。


「なら、どうして来たの?私が欲しいんでしょう?」


ハヤトは喉の奥で「くっ」と笑った。


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