愛されたかった悪女
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ハヤトは彼女が来た夜、寿司店に連れて行った。


そこはグループで良く行くお寿司屋さんだった。


付き合っていることが公にできなかったから、ふたりでカウンターに座り仲良く食べられなかった場所だ。


ジョンが言うには、お酒が入った彼女は頬をピンク色に染め、可愛らしかったと言う。


ハヤトがそんな彼女を抱く……私は心が裂けそうなほど動揺した。




猜疑心を起こさせる為に、まず私はハヤトの寝室に目立つ赤いブラジャーを落とした。


ハヤトの部屋のカギは返したけれど、別に合鍵を作っていたから彼の部屋に入るのは簡単だった。


彼女は私のブラジャーに気づいたのか気づいていないのか、それは分からなかったけれど日本へ戻る気配はなかった。


本当にしぶとい女……。


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