愛されたかった悪女
熱が少しずつ冷め、荒い息がおさまってくると、私を腕に抱き寄せたままジョンが口を開いた。


「今日、セントラルパークで亜希さんにあったよ」


「公園しか彼女には行くところがないの?」


行動範囲も狭いだなんて笑えるわ。


「病み上がりで、悲しそうな顔をしていた 別荘での出来事が気になっている様子だったよ」


あの子を陥れる手助けをしてくれるジョンなのに、同情心からなのか、私には彼があの子に惹かれているように聞こえた。


「当然よ 早く日本へ帰ればいいのよ」


彼女を憎むあまり、ついきつい口調になってしまう。


「僕が言っておいたよ 君は家庭に入り、隼人さんの子供を産む覚悟があると」


「あら、それはありがとう 貴方があの子を追い詰めてくれるなんて素敵だわ」


やっぱりジョンはあの子の事なんて何とも思っていない。


にっこり微笑むと、ご褒美の様にジョンの唇に唇を重ねた。



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