愛されたかった悪女
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「どういうつもりなんだ!カンクン行きはスケジュールに入っていないぞ!」


2年前に変わったマネージャーがすごい剣幕でまくしたてる。


「マーカス、行かなくてはならないのよ」


私はうろつくマネージャーを無視して、スーツケースに服を詰めていた。


「仕事に穴をあけるのか?そんな事を一回でもしたら、信用が落ちていくんだぞ?いつまでもトップでいられない 現にいま勢いのあるサーシャに仕事を取られ始めているんだぞ?」


「あの小娘?いいわ あの小娘に仕事なんてあげる 私は仕事より愛を取るの 妊娠もするつもりだから、仕事はキャンセルして」


「エステル!何を言っているんだ!」


サーシャに仕事を取られていると言いながらも、まだスーパーモデルとしてやっていけると延々と話し、マネージャーは私を言いくるめようとした。


何を言っても無駄よ。


今の私は仕事よりもハヤトが大事なの。


あの子にとられるなんてまっぴら。


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