愛されたかった悪女
23時、そろそろシャワーを浴びて眠ろうと思っていた頃、ジョンが部屋を訪れた。


少しがっかりしたような表情をしている。


「どうしたの?あの子と話をしたのでしょう?」


「……いいや、来なかったんだ 部屋に電話を入れても出なかった」


ソファーに座り、疲れたように言うジョンの服から潮の香りが漂ってくる。


海辺でかなりの時間、待っていたよう。


「じゃあ、ハヤトに電話をしてさりげなく聞いてみればいいわ」


「あぁ そうだね そんな簡単なことを忘れていた」


ジョンはディナージャケットの内側から携帯電話を取り出すとハヤトへかけた。


スピーカーにした携帯からは、何度もコール音が響くだけ。


携帯電話を切ると、ジョンが眉をひそめて言う。


「これだけでないなんて、どうしたのだろう……まさか、セックスの最中――」


「言わないで!想像するだけで吐き気がしてくるわ」


ハヤトがあの子を抱いているのを想像するだけで胸が悪くなる。


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