愛されたかった悪女
「悪かったよ 機嫌直して」


ジョンの指先が私の腕をゆっくり撫でる。


「まだ着替えていないのは、僕の為だろう?」


ジョンとあの子が気になって、まだドレス姿だった。


ジョンは勘違いしている。


貴方の為のドレスじゃないわ。


ハヤトの為のドレスよ。


そう言いたいのに、がっかりさせてしまうのが可哀想で言えない。


「……そうよ 貴方が気に入ってくれたから待っていたのよ」


にっこり笑ってジョンの膝の上に座り、唇を差し出した。



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