愛されたかった悪女

取引

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私はハヤトが戻って来るのを待っていた。


今日は一度も会っていない。会いたくて仕方ないのだ。


ロビーのソファーで、本を読んでいるフリをしてハヤトを待っていた。


何をやっているの?早く帰って来なさいよ。


イライラして、立ち上がるとロビーの出口に向かおうとした時、ハヤトがあの子を横抱きに抱いて歩いてくるのが見えた。



『いったいどこへ行ってたの!?』


私は嫉妬に燃えた瞳で、ふたりを交互に見た。


そして私は待ちくたびれていたせいか、ヒステリック気味に叫んでいた。


『ハヤト!どうしてその女を抱いているのよ!』


『ヒールが折れたんだ それに彼女はその女ではない 妻だ』


彼は淡々とした口調で言った。


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