愛されたかった悪女

追い打ち

パリへ飛ぶ荷造りを済ませ、部屋の電話の受話器を取る。


フロントに電話をかけ、パリへ飛ぶ飛行機を取る様に言う。


経由地を聞かれたが、快適な席が取れるのならどこの経由地でも良いと答える。


10分ほどで、コンシェルジェからチケットが取れたと連絡があった。


出発まであと2時間しかない。


私はもう一度受話器を手にして、あの子の部屋へかけた。


そろそろプレッシャーをかけて、私はパリ滞在を楽しもうと思っていた。


コール音は鳴るものの、なかなか出ない。


どこかへ行ったのか、シャワー中か、そう思った所に返事が聞こえた。


『もしもしっ』


あの子の慌てた声がした。


バカな子、日本語で出るなんて。


「あら、まだ寝ていたの?余裕ね?」


皮肉たっぷりに言うと、あの子は黙ったままだ。



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