愛されたかった悪女

パリ

パリに到着すると、ジョンからのメールに気づいた。


迎えのリムジンの後部座席に座ると、ジョンのメールを読みはじめる。


やはりカンクンでの仕事は片付き、翌日に帰国するとの事。


自分の正体をあの子に教えたという事が書かれてあった。


きっと彼女は隼人さんと別れるよ。と……。


ジョンは私の為に本当にやってくれる。


最初は私と寝る為に手伝ってくれたのかと思っていたけれど、今までの男たちと違う気がしてきた。


私と関係のあった男たちの視線とは違う優しい穏やかに見守られているように思えてくる。


私は胸の奥から深いため息を吐きながら、携帯電話をしまった。


窓の外に目をやると大好きなパリの街並み、セーヌ川が見えてきた。


セーヌ川沿いにテントがたくさん張られている。


毎年、夏になると露店が立ち並び、夜遅くまで若者たちでにぎわうスポットだ。


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