愛されたかった悪女
あの子がハヤトに告げ口をした様子はないと、ジョンからのメールに書かれていた。


そして真夜中に再びジョンからのメールをもらった。


あの子が日本行きのチケットをハヤトの秘書を通して予約したと。


ジョンも本社に用があり、同じ便に乗るとあった。


最後までジョンは見届けてくれるつもりだ。


ジョンに感謝しながら、返信をする。


ありがとう……と。


今の私にはそれしか書けない。


電話を切り、頭をクッションにつけて目を閉じる。


ようやくあの子はハヤトと別れる決心をしたのね。


確かに……ハヤトと別れるのはたやすいことではないわね。


これでハヤトは私のもの。


自然と口元に笑みが広がるのを止められなかった。


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