愛されたかった悪女
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ハヤトはあの子の為に、時間を割いて空港まで送って行ったようだ。


最後のお別れね。


心を引き裂かれるような苦しみを味わえばいいんだわ。





数日後、待ちに待ったハヤトからの電話に心が浮き立った。


「ハヤト」


『会おう』


言葉が少ないけれど、そんなのは問題じゃないわ。


「ええ、うちに来てくれる?」


『……わかった。1時間後に行く』


早口にハヤトはそう言うと、電話を切った。


やっとハヤトに会える。


来るのが待ち遠しい。


心が弾んでくる自分が可愛いと思った。



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