愛されたかった悪女
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約束通りハヤトは1時間後に現れた。


ハヤトを見て、抱き付きたくなったけれど、ここはクールに行くべきだと思い留まる。


「お久しぶりね?」


「あぁ」


「そんなところに突っ立っていないで、どうぞ中へ入って」


私はハヤトを招き入れた。


ソファーに座ったハヤトはどう見ても不機嫌そのもの。


長い脚を組み、両腕も身体の前で組んでいる。


まるで私を近づけさせないバリアーでも張っているみたい。


そう思うと、悲しくなったけれど気持ちを取り直して笑みを浮かべハヤトを見る。


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