愛されたかった悪女
「だって、癪じゃない?私は振られたことがないのよ?だから、いたずら心が芽生えたの」


そう言って、一口ワインを飲む。


「いたずら?あれがすべていたずら心?カンクンまでやってくるのが、いたずらで済むのか?」


「ええ、私のことは知っているでしょう?楽しむ為ならどんなところでも行くわ」


「何が目的だ?」


視線で殺人が出来るのなら、今のハヤトの視線の事を言うのかもしれない。


怒りを秘めた瞳が胸に刺さるようで痛い。


「私の望みは知っているはずよ?貴方をまだ忘れられないの。私と結婚して」


私は立ち上がると、ハヤトの隣に座った。


「矛盾しているな。いたずらで俺たちを別れさせ、結婚したいと言う」


そろそろ告白するべきだわね。


ハヤトの怒りを鎮める為に。


結婚して子供を産みたいと言うのよ。



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