愛されたかった悪女
「愛していない。身体だけの関係だ。お前同様、俺も汚れている」


ハヤトがいきなりソファーから立ち上がった。


「ハヤト!」


「俺は妻と別れない。例え、別れたとしてもお前と一緒になる事はない いいか?これは本心だ。どんなことがあろうとも俺はお前と結婚しない」


ハヤトは空気をも切れそうなほど冷たく言い捨てると出て行った。


残された私の頭にハヤトの声がリフレインする。


『俺は妻と別れない 例え、別れたとしてもお前と一緒になる事はない いいか?これは本心だ どんなことがあろうとも俺はお前と結婚しない』


私の切り札を使っても、貴方を私のものにはならない……?


手の甲に冷たいものが当たった。


自分の涙だった。


頬を濡らし、手の甲に落ちたのだ。


どうしてこんな風になってしまったの?


貴方といる時が私は幸せだったのに……。


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