愛されたかった悪女
「……ちょっと、飲み過ぎたみたい……」


自覚すると、みるみるうちに胃の中の物がせり上がってくる。


私は立ち上がると、リビングで醜態をさらす前にレストルームに駆け込んだ。


しばらく吐き気と戦っていると、背後にジョンが立った。


「大丈夫かい?立ち上がれる?」


ジョンは手を差し伸べてくれた。


その手に掴まり立ち上がる。


洗面所の鏡に映る最悪な青い顔。


思わず鏡を壊したくなる。


水で口の中と顔を洗う。


「飲みすぎだよ……こんなになるまで飲むなんて……」


「ジョンには関係ないでしょう!」


心配から言ってくれているのだろうけど、癪にさわる。


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