あの空の距離まで


「あ?何て?」

「ま、まだ死にたくない!!」


大きな声で彼女は“死にたくない”と言った
つまり生きたいって言ったのと同じだ


「ならもうエエやろ。戻るで」

俺はそう言うと、フェンスをまた上り元いた所に戻った

彼女も泣きながらフェンスを上り、ゆっくり下りてくる


「だからパンツ見えとるって」

「だから見んといてって!」

いやだから
見たくなくても風で……以下略


「お前な、もう自殺とかすんなよ。まだ生きたい言うたんやから」

「うん……」

俯いたまま彼女は答える
ちょっとやりすぎたか
そう思った


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