雪花
第一章 出逢い
一
縁側に座りながら、唄っている少女がいた。
少女の元に歩み寄る人影が現れる。
「綾香ちゃんは、その歌が好きだねぇ」
「お祖母ちゃん、うん。私この歌大好き!」
「そうかい。お祖母ちゃんも子どもの頃から唄っていたよ。お祖母ちゃんのお母さんもみんな唄ってたんだよ」
「すごいね。そんなに昔からのお歌なんだね。お祖母ちゃん、この歌は誰が作ったの?」
綾香の祖母は、遠い眼をした。
「この歌はね……」
歌を作った人物は、分からない。歌は昔から語り継がれて、皆から愛唱され大人や子どもも、老人からも慕われてきた。歌の旋律は落ち着いている。時折、感情がこめられた旋律もある。どこか儚い歌は聴く者を魅了する。
しかし、歌はいつ作られ、それを作った人物、歌の意味を知る者はいない。
歌の意味を知ったとき、人は何を感じるだろうか……。