蜜柑の香り

「…なんもないねん。」

まだ自分でも分からない気持ちに思わず誤魔化してしまう。

何にもないんじゃないけど、どうやって説明したらいいか分からない。

バンドのこと?
ケイのこと?

なんとなくなモヤモヤが、さっきの百面相の答え。

ついはぐらかしたかのようなノボルの反応に、アキは間を置いてから頷いた。

「…分かりました。ノボルがそう言うんやったら、そうなんやろな。」
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