蜜柑の香り
しばらくの沈黙。
長い間、黙っているとその雰囲気に耐えられなくなったようにノボルが口を開く。
「…俺には声しかないねん。」
小さなその呟きに、素直な気持ちを感じてショウが笑う。嫌味からではなく、おかしくて。
「ほんま、俺にもギターしかないわ。」
初めは暇つぶしだった。
適当に集まってる仲間。実は楽器が出来て、合わしてみたら気持ち良かった。
そこに歌えるノボルがたまたま入って、これは行けるって感じた。