魔女の悪戯
クリスティア城
ラウロ王子に、王女の説得を約束して部屋を飛び出した忠純は──
迷子になっていた。
「いくら何でも広すぎだ…。
それ以前に、儂はラミア王女とやらの部屋を知らぬではないか。
一体どうすれば…」
外から見てもわかるように、クリスティア城は本城だけでもかなりの広さがある。
岩佐城とは、それこそ比べものにならないくらいに。
広い広い城内を、適当に歩き回ってたどり着く事が出来るほど忠純の運は良くなく…。
ラウロ王子の部屋に戻れるかも、外へ出られるかもわからなくなってしまった。
──甚だ困った。
忠純は仕方なく、適当に歩き回る。
いつか、着くだろうと軽く考えて。
その間にも、すれ違う騎士、兵士、召使や女官たちから尊敬の眼差しをむけられ、挨拶され。
若い女官たちは挨拶をただ返しただけでも頬を赤らめた。
本当は自分にむけられた視線ではないとわかっていても、やっぱり嬉しくて。
王女の部屋にはまだ着かなくてもいいかな、なんて思いはじめた頃に、不機嫌そうにある部屋の前に立つ、美しい少女が目に入った。