魔女の悪戯
「良いではありませんか。」
「えっ…。」
「良いではありませんか。
貴女が誰を思おうと、貴女の勝手だ。
夫となる方を思おうと、民を思おうと、私を思おうと。
貴女は、ただ一人を想えるし、何人だって貴女は相手を思いやれる。
貴女の心は、貴女の勝手だ。」
レオの言葉に、柚姫は、はっと顔を上げた。
レオは微笑んで、
「貴女の心は、貴女だけのもの。
誰にも見えなければ、誰にも奪えない。
そこで誰を思おうと。」
と言った。
柚姫は涙を浮かべた目で、笑いながら言った。
「ありがとう…。
忠純。」
レオは、そっと体を離し、ひざまづいた。
柚姫の手をとり、そっと口づける。
柚姫、真っ赤。
さっきまで、男に平気で抱きしめられていた姫は何処へやら、純粋無垢な姫様に逆戻り。
レオは、素知らぬ顔で
「そろそろ宴の時間でございます。」
と、柚姫をエスコートする。
柚姫は、してやったりな顔のレオに連れられ、宴の間へと向かったのだった。