魔女の悪戯
午後、ラミア王女は出発前、最後の挨拶のためにラウロ王子を訪ねた。
「お兄様、私はこれからカルボーロに参ります。」
「ラミア…。
結婚前に、一度くらいクリスティアに帰ってくるだろ?」
「やだ、お兄様。
そんなに泣きそうにならないで下さい。」
「な、なってない!
で、どうなんだ?」
「さあ、もしかしたら戻って来ないかも知れませんわ。」
ラウロ王子はショックだったのか、呆然とする。
それを見たラミア王女は、クスリと笑った。
「ま、こんな急にクリスティアを出ることになってしまったし、一度くらいは戻って参ります。」
「ラミア…ッ!」
ラウロ王子はギュッと王女に抱き着いた。
「お兄様!
暑苦しいわ!
早く離れて頂戴!!」
「ああ、ごめん。」
ラウロ王子は楽しそうに言った。
「まったく…。」
王女は、心底呆れ顔で言ったが、本心ではなさそうだ。