魔女の悪戯
忠純は、飲もうとした茶に映し出された金髪碧眼の青年に話しかけた。
「柚姫様は、清々しいご様子であった。
輿入れが明後日に迫った時でさえ、浮かぬお顔であらせられ、あの日も思い詰められたご様子であったのに…。
きっと、貴殿のおかげだ、忝ない。」
「いや、俺こそ、ありがとう。
我が儘王女が結婚を決めてくれて、ほっとした。
ようやく落ち着いてくださるだろうとな。
──少し、寂しいが…」
「寂しいのは、儂とて同じだ。」
「…そうだな。」
「……貴殿とは、もう会えぬだろうか?」
「さあ、あの魔女さんに聞いてくれ。
俺は…。
どちらでも良い。
お前は俺。
そんな気がする。」
「そうじゃな。
されば、儂の思っておることがわかるか?」
「…あぁ。」
忠純とレオは、水面越しに目を合わせ、カップと茶碗を高々と掲げて一気に飲み干した。