Poison Music
第三章
私にとって貴方が目標だった。
貴方の為なら歌えた。貴方に託す歌を。
気付けば私は舞台の上で歌を唄えるようになっていた。
ギター目線から見た唄う立場とは全く違う感覚を味わった。
ファンの方々は案外私を受け入れてくれ、智也の退院祝いもした。
「ねぇ、智也。本当にいいの?」
私は心配な表現で彼に問いかけた。
彼は白い紙にシャーペンで「隠し事は好きじゃない。だからちゃんとファンに伝えたい」と返事をした。
何について話し合っているのかと言うと、智也の交通事故について。
交通事故にあった、とはテレビのニュースで流れたが、状態は回復しただけ。
それのことで智也は反発したんだ。
私は否定出来ずにいた。
明日のライブでそれを伝えることに。