監禁恋情
低く、迫力のある怒声。
二人の動きがピタリと止まり、その声のしたほうに視線を向けた。

そこには、初老と思われる、厳格そうな表情をその顔に浮かべる男。

なんとも言えぬ立ち振る舞い。

圧倒的な迫力。

「…」

和樹が、辛い体を起こし、それでも敬意を払って、そう呼んだ。

「父さん…」

紀一は、本当に久しぶりに、そう口にした。幹久は、黙り、その男を睨みつけた。

二人の息子を前に、男はため息をついた。

「やっと出てきたと思えばこれか、馬鹿息子ども。」
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