監禁恋情
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それは、穏やかな季節だった。

寒くて、寂しい冬を超え、
やっと訪れた春の日差しに、私は目を細めるばかりで。

日頃、美しく育っていく、少女を見つめた。

いつまでも迎えにやって来ない男を、
少女は、厳しい冬の間、待ち続けていた。

私が、辛いだろうと声をかけると、

「きっと迎えに来てくれます。だから平気です。」

と、笑顔で答える少女も、時折寂しそうな顔を見せていたのを、私は知っていた。

それでも、体調がよくなってからは、
普段なかなか行き届かない家のことを、よく手伝ってくれる少女が、娘のように思えた。

なので、早く少女の幸せを願う反面、
このままここにいてくれないだろうかと、私は卑怯なことを考えている。

私の家の庭では、
数本の木が美しい桃色の花を
咲かせている。

それは、少女の名前と同じ花。

儚く、美しく、少し悲しい花。

「さくら。」

私は、少女の名前を呼んだ。
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