監禁恋情
思えば、痛いのは足だけじゃなかった。
顔や体にいくつも痣があって、それらはずきずきと痛んでいたし、男に繋がれていた手も、ガリガリに痩せていた。
(汚いな……)
自分の体なのに、酷い嫌悪感を覚える。
こんな汚い自分は、愛されないのも当然だ。
こうして手をひいてくれているこの人が、殴りたくなるのも、蹴りたくなるのも、当然なんだ。
そんな風に考えていると、自分と、男は、どこかの建物に辿りついた。
男を見上げると、とても優しい顔で微笑まれて、思わず胸が締め付けられた。
こんな顔を見るのは初めてだ。
そして男は、私の頭を優しく撫でた。
いつも私を殴るその手で、私を撫でた。
今までの人生で、こんなに嬉しかったことはない。
私は、生まれて初めて喜びを感じ、
その直後に初めて絶望を味わった。