監禁恋情
「君のことを返しそびれたよ…」

そう言うと、少女は安堵とも驚きともとれる微妙な、本当に微妙な表情をしたあとに、呟いた。

「え…?では…どうすれば…」

「今、それを考えている。」

苛々と男に言われ、身を竦める。
少女から見て、男はなんというか、神経質そうに見えてどこかけだるそうな、しかし発する言葉にはどこか迫力がある、不思議な人間だった。

ここに来る前に自分を「人形」と呼び、自分を見つめては何やら愉快そうにニヤニヤと笑っていたあの意地悪な男と、どっちが好きになれそうかなと考えて、途中でやめた。

「…まぁ、」

この言葉のあとに、ゆっくりと息を吐いて、それから

「どちらにしてもしばらくは、ここにいてもらうしかないようだ。」

そう続けた。
少女にとって嬉しいのか、少し拍子抜けなのか、どちらともとれないため息が口から出て、

「…はい。」

力なく、しかしはっきりと、返事をした。
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