監禁恋情
最初は、彼女の言っている意味がわからなかった。

彼女は、その純粋すぎる心から、人の心の変化を鋭く見抜く。
それだけならば精神病とは呼ばないが、彼女はその純粋さのせいでストレートに伝わりすぎる人の心の重さに耐え切れず、心を壊してしまったのだ。

心が壊れた日から、彼女の顔には笑顔だけが浮かんでいる。

「先生の心はね。本当は誰よりも泣いてるのよ。世界を嘆いて、狂っているのを隠してるのね。」

彼女に言われたこの言葉の鋭さと言ったら、なかった。

実家は、あんなに大きな会社で、だけど、親からの愛情は、借り物のようで。
成人を向かえる前に、両親は言った。
[会社を継ぐのは兄ではなく自分]だと。
そんなものには最初から興味がなかったのに、兄は、自分に怨みを向けた。
金、家族、どれにも嫌気がさして家を飛び出し、医者になった。

―この世界は汚い。
―この世界はくだらない。
―愛情なんて存在しない。


コツン、と額に愛の額が触れて、自分の頬に雫が伝った。
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